網膜硝子体疾患と網膜・硝子体手術

網膜の構造

網膜はほぼ透明な複雑な9層構造をした神経組織です。目の組織の中でも最も大事な、視細胞、神経 細胞、その軸索が存在しています。 受精後5週間目、体長わずか10mmの胎児で、すでに脳と一緒に網膜ができはじめます。
ひとの網膜は切除したら現在の医療では、再生することはなく(再生医療の研究が盛んに行われてい ますが)、水晶体疾患(白内障)のように人工的なものと交換することもできませんし、角膜のように移植手術をすることもまだ一般的にはできません。 網膜の最も外側にある視細胞で映像を認識し、神経線維に伝わり、神経線維の集まった視神経を通って大脳に送られます。視細胞は小さな細長い細胞で、色素上皮細胞というさらに外側にある細胞の突起の間に突き刺さるようにかみ合って栄養をうけています。視細胞と色素上皮細胞は、皮膚とその下の組織のように強く癒着してはいません。
明所で働く視細胞は人では黄斑部(おうはんぶ)という直径1mmほどの部分に特に集中して存在し、この部位を黄斑部と言いこの部位が病変または外傷で障害を受けると視力は著しく低下し戻りません。


網膜剥離とは

視細胞と色素上皮細胞の間で網膜が剥がれる視野、視力が障害される病気を網膜剥離(もうまくはくり)といいます。
網膜剥離がおこると、その部分の視細胞は色素上皮細胞から栄養をうけることができなくなり、機能が低下し働かなくなります。視細胞そのものにはもとに戻る再生力があるので、網膜が復位すればある程度機能が戻ります。しかし時間がたてばたつほど、完全とはいかず回復の幅は小さくなることもあります。
特に黄斑部は大切な部位で、ここまで剥離が及ぶと短期間でも視力が回復するのは難しくなりゆがみが残る場合もあります。


網膜剥離の原因 − 網膜裂孔

網膜剥離はいろいろな原因でおこります。がほとんど多くは、網膜に裂け目ができたり、穴があいたりするのが原因です。
このような裂け目や穴を網膜裂孔(もうまくれっこう)といい、これによる網膜剥離を裂孔原性網膜剥離といいます。網膜剥離というと普通はこの裂孔原性網膜剥離をさします。
網膜裂孔から網膜の前にある水が網膜の下に入り込んで網膜剥離は広がっていきます。ただし網膜裂孔ができれば必ず網膜剥離になるというわけではありません。


網膜剥離の原因 − 硝子体の変化

網膜剥離がおこるときには、綱膜裂孔の近くで網膜を剥離させるように 引っ張る力がかかり、硝子体(しょうしたい)の加齢変化や近視よる変化が関与しています。硝子体は眼球の容積の最も大きな部分をしめる、ちょうど卵の白身のような透明なゲル状の組織です。成分の99%以上が水ですが、硝子体線維という目に見えない細かい線維が水を含んで膨らんでいます。白身が穀の内側にくっついているように、硝子体は眼球の内側、つまり網膜の表面に癒着しています。
若い時には均一で透明な硝子体は、年齢とともに線維が少しずつ収縮して水だけの部分(液化腔)が増えて濁りも出現してきます。若い網膜剥離の患者さんではこのような変化が通常より早くおこり、網膜表面に硝子体の異常な収縮力がかかる、網膜が弱く変性していたりしています。50歳代頃から、収縮した硝子体が網膜の表面からはずれる現象がおこります。これを後部硝子体剥離といい、正常でもおこりうる加齢による変化です。
しかし後部硝子体剥離がおこるときに、網膜にうすい変性部分や、硝子体が異常に強く癒着しているような部分があると、そこで網膜を引っ張って網膜裂孔を作り、癒着がはずれずにさらに引っ張ると網膜剥離裂孔、網膜剥離へと進行します。


網膜剥離の症状

飛蚊症の増加(糸くずが増える、黒い点が増える、砂嵐の様、墨のようなものが見える)に加え、光視症(光が視界の端光って見える)、見えない範囲(視野欠損)が広がってゆきやがて視力が低下 (黄斑部剥離)する。


網膜剥離と飛蚊症

視野の中に糸くずや虫のようなものが浮かんでみえる症状を飛蚊症といいます。硝子体中の浮遊物(濁り)の陰を自覚するもので、空や白いものをみる時にはっきりします。目の中にあるものの影なので、追いかけると動きます。混濁物のほとんどは、硝子体線維の集まったもので、淡いものです。
後部硝子体剥離がおこると、視神経の部分についていた繊維の配列の違う(濃い混濁)が浮いてきて、はっきりとした輪状の黒い影を自覚します。飛蚊症は珍しい症状ではなく(正常な方でも30%ぐらいで見られます)、それだけなら心配ありません。
しかし網膜剥離の前駆症状として飛蚊症が増える場合があり急激に増えた、光視症もある、視野欠損がでた等異常がでたら早急に眼科にて検査を受けることをおすすめします。
眼底検査ご希望の方は、受付終了時間間際ではなくなるべく1時間前までにお越しください。


網膜剥離の手術

網膜裂孔、網膜剥離裂孔は、レーザーや冷凍凝固により瘢痕(はんこん)を作って閉鎖します。
網膜剥離の手術は、硝子体が網膜を引っ張る力を解除すること、網膜裂孔を閉鎖することを目的にして行います。眼球の外側にシリコンバンドを縫いつけて、網膜裂孔のある部分を内側に土手状に 突出させる方法(エンサークリング、バックリング)と、直接硝子体を切除してしまう方法(硝子体手術)があります。
最近は、硝子体手術(多くは水晶体手術も併用して)を最初から行う施設も増えています。
術後3日程度うつ伏せ姿勢をとらなければならない場合も多く、治療には患者様の協力、努力、忍耐も必要で再手術が必要となることもあります。当院にても、日帰り手術可能で日程調整がつく場合お受けすることができる様になりました。難症例で多数回の手術が予想される方や現在緊急を要する場合、手術に従事できるスタッフ数の限りがあるため大学病院等に紹介させていただく場合があります。


網膜剥離の予防

網膜にうすい部分やすでに網膜裂孔がある場合には、予防的に冷凍凝固やレーザー凝固を行う場合があります。しかし予防手術は100%効果があるというわけではありません。網膜剥離の前兆や症状に注意しながら、定期的に眼底検査をうけることが大事です。
特に身内に網膜剥離の患者さんがいるなど、危険因子を持っていると思われる場合には定期検査をうけ症状出現時には、早期にご受診ください。


糖尿病網膜症

糖尿病は初期では自覚症状の少ない病気ですが、さまざまな合併症があります。最も注意しなくてはいけないもののひとつに、糖尿病性網膜症があります。自覚症状がないために、発症になかなか気がつきませんが、黄斑部がむくむ、網膜、硝子体の中に大きく出血すると、視力の低下として自覚されます。そのまま放置されると、網膜にある血管が破綻して出血、増殖性網膜剥離をおこし、場合によっては失明に近い状態となります。現在、日本の中途失明原因の第2位は、この糖尿病性網膜症です。網膜の異常は眼底検査で発見ができるため、定期的な検査を行う必要があります。きちんと治療をすれば進行は抑えられますので、眼底検査を受け適切な時期に適切な治療を行うことが大切では当院では、内服加療、螢光眼底造影検査、OCT検査、網膜光凝固装置(眼底レーザー:当院ではパーターンスキャン付きマルチカラーにて低侵襲レーザーが土日祝も予定できます)、ケナコルト、アバスチン、ルセンティス、硝子体手術による黄斑浮腫、増殖膜の少ない硝子体出血の治療が可能です。


OCTスキャナー(RS-3000)

その他

黄斑上膜、黄斑円孔、眼底出血、網膜中心静脈(分枝)閉塞症、に対する治療加齢性黄斑変性症に対するルセンティス、アイリーア硝子体内注射、低侵襲マルチカラーレーザー(土日祝も応需)硝子体手術に対応しております。検査では、螢光眼底造影、OCT検査にて精査が可能です。
硝子体手術、バックリング手術に関しても、日程が合う場合当院でも施行しております。日程が合わない場合大学病院等を紹介させていただきます。


Fortas CV-30000硝子体手術装置(キセノン光源付き)

日吉東急鈴木眼科TOP診療一般眼科白内障・緑内障とは?日帰り白内障手術多焦点レンズによる白内障手術網膜硝子体疾患と網膜・硝子体手術マップ求人案内医師略歴